2022,09,23, Friday
SAI2は非常によいソフトです。 何といっても軽いことと線の滑らかさに関しては他のドロー系ソフトの追従を許しません。 ボクは主に下絵(線画)に使用しております。 線画以降の処理はPhotoshopという今となっては古典的な絵描き環境です。 まあそれでも絵が描ければいいわけで。 これまでのMacでは、仮想化ソフトParalells Desktopを使って仮想PCを作り、その仮想PC上のWindows10からSAI2を動かしていました。 タブレットも左手デバイスも仮想PC上に繋ぎ変えて(ソフトウェア的に)、ドライバもそれぞれ仮想PCにインストールしているので、WindowsPCをMac上に丸々構築して稼働させていました。 CPUもIntel製なので、仮想PC上のWindowsとの親和性もそこまで悪くはなかったのですが、Appleシリコン M1チップが登場し、ボクも先日新たなAppleシリコンのMacを手に入れました。 皆様もご存じの通り、M1チップはARMベースのCPUであり、従来のIntelチップ(x86-64)とは互換性がありません。 従って通常のWindows(Intel版)を仮想化ソフトにインストールすることができなくなりました。 さて、仮想化ソフトでWindowsが動かないのはどうなのかと思っていたところ、Parallels Desktopは早々にAppleシリコンに対応し、Windows11も動かすことができると注目されているわけですが、果たしてどこまで動かせることができるのでしょうか。 というかそもそもSAI2を動かすことができるのでしょうか? それを検証してきたいと思います。 前述の通り、Parallels Desktopは一番にM1ネイティブ対応を謳った仮想化ソフトであり、ARM版WindowsをインストールすればAppleシリコンでもWindowsを動かすことができます。 ARM版Windowsは割と歴史が古く、Windows8(WindowsRT)の時代から細々とリリースされていました。 昔のARM版WindowsではARMプロセッサ対応のアプリケーションしか動かせなかったので、取りあえずARMで動くWindowsを作った感しかなかったのですが、ARM版Windows10ではIntelのx86(32bit)のアプリケーションが実行できるようになり、そしてARM版Windows11になって標準でx64(64bit)のアプリケーションも動かせるようになりました。 (Windows10でも追加でx64アプリが動かせるようになりました) あくまで理論上の話ですから、実際に動かないソフトもあるようなので、SAI2が動くかどうかはやってみないと分らないわけです。 こんな奇特な環境でSAI2を使う人は絶対的に少ないですから、ネット上の情報を拾うことすらできませんので、自ら人柱になるしかないのです。 M1 MacでSAI2が動くかどうかは複合的な要因が絡みます。 Paralells Desktopのエミュレーションとの相性で動かない場合もありますし、ARM版Windows11のintelコードのエミュレーションとの相性もあるという、所謂エミュレーションの入れ子状態ですので、それぞれのエミュレーションの問題についてはそれをどうにかするということは一般のユーザにとってはどうすることもできません。 ただ『上手いこと動いてくれ』と祈るしかありません。 果たしてM1 Macで無事SAI2が動いたのか。 細かい経緯は差し置いて、結果から言えばSAI2を動かすことはできました。 ただ、ARM版Windows又は仮想化ソフトのエミュレーションにまつわる問題があるので制約があります。 ・ARM版Windows用のWACOMタブレットドライバはありません SAI2に関してはTabletPC APIを使えばタブレットが使えます。 (SAI2の設定項目にある) ・最近のバージョンは線を引くと遅延が長すぎて実用速度では使えませんでした 2016年くらいの古いバージョンだと実用的な速度で線が引けます。 ・SAI2は32bit版がよいです 64bit版は動作不具合(メモリエラー)が起きて起動できませんでした。 以下手持ちの各バージョンでの動作状況 20160730-32bit-ja ○ 20160730-64bit-ja × メモリエラーで起動せず 20170607b-32bit-ja ○ 20181028-32bit-ja × 動作遅延大 20181028-64bit-ja × 起動するが動作遅延大 20220828-32bit-ja △ 遅延が若干あるが微妙に動く 20220828-64bit-ja △ 遅延が若干あるが微妙に動く ・NAS等ネットワークドライブにファイルを直接保存するとほぼフリーズします 保存の処理が著しく遅くなる 又は 保存できてもNASのデータが更新されず。 ファイルをローカル(Parallels内)に置けば問題ありません。 ・SAI1も動きましたが、筆圧がかかりません ・SAI1は5Kディスプレイだと文字が小さすぎます ・でもネットワークドライブへの直接保存は問題ありません SAI1に関してはWinTab APIなため非対応なのと、スケーリングにも対応していないので文字やアイコンが小さくなってしまうのだと思われます。 Windowsにはタブレットドライバの設定を一切していないのに普通に動いてるのか最初よくわかりませんでした。 Parallelsが気を利かせてくれてるのかな? 多分TabletPC APIで動いているからのようです(真っ先に設定したような気が)。 標準のWindows11ではWinTab APIは入っていない模様。 ARM版Windows11ではWintab API 64bitは非対応のようです。 参考サイト : https://29udon.com/1673.html ※見解については素人の推測なので、正確性に疑問が出る場合もあります。 筆圧やマッピングの設定はmacOSのシステム設定→ワコムタブレットのプロパティで、アプリ名Parallelsとして設定できます。 ただ筆圧設定がMacとは違うので注意が必要です。 ※個人の感想です。 以上の事から M1 Mac / Parallels(ARM版Windows11)で32bitの初期バージョンでファイルをローカルで扱うのならSAI2が動作するというのが分りました。 ARM版WindowsのIntelコードへの対応も32bitが先だったという経緯があるので、そういうことなのでしょう。 新しめのバージョンでも動作の遅延が大きいのとそうでもないものがあるようなので、その辺りは逐一試してみる価値はありそうです。 MacでSAI2を使う、というのは現状なんとかできたものの将来性があまりあるものではありません。 現行のSAI2が日々のアップデートによりARM版Windowsでも違和感なく動くようになるのを祈るしかありません。 またParalells Desktopのエミュレーションの最適化によるパフォーマンス向上もある程度見込めるでしょうが、根本的にはARM版SAI2がリリースされない限り解決は難しいでしょう。 今回動くと確認されたSAI2がParallelsの将来のバージョンアップによって動かなくなるのだけが懸念として残り続けますが、まあ今動いているのだから良しとしましょう。 それではまた。
| ヲタク::PCとか | 02:59 PM | comments (x) | trackback (x) |
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