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歴代Photoshopを振り返る(5)
この色使いwww

 前回のPhotoshop 5.5Jから気の遠くなるような時間が経ってしまいましたが、今回も歴代のPhotoshopを使ってみてこんな機能とかあったよねーとか当時使ってたけどこんな事が既にできたんだなーとかそういう事を絵描き視点から書いてみようという一連の企画。
 ま、あくまでも”絵描き”視点というか単に自称絵描きのボクの主観的な感想が中心にならざるを得ないところを冒頭で断わっておくべきでしょうね。そこまでボクもPhotoshopに精通しているわけでもないので。
 はや5回目を迎え、とうとう歴代Photoshopの中でも思い入れの強いバージョンであるPhotoshop6.0Jです。
 古典Photoshopの中では単一バージョンとして一番使った(使い込んだ)と思っているので、その辺りも思い入れの強いという一因であると言えましょう。

 果たして当時の思いが今になって、果たしてどのような変化があるのでしょうか?。


 前バージョンであるPhotoshop 5.5JよりWeb画像編集に特化したAdobe ImageReady 1.0が同梱され、Adobe Gammaによる簡易的なモニタキャリブレートにも対応しました。
 基本的な編集機能はこのPhotoshop 5.x(5.0/5.5)シリーズによってある種の完成の域に達したという評価が多く、古参の絵描きの中には未だに絵描き作業の共として現役で使っているという人も居るくらいに息の長いバージョンとなっているようです。

パッケージ全容
 Photoshop 6.0Jは更に近代化され、ボクとしてはこちらの方が”より完成された”Photoshopなのではないか、という認識があります。
 とはいえ世間的には地味なバージョンであり、基本的な絵描きの機能が揃った5.xシリーズとブラシエンジンの更新や今のBridgeに繋がるファイルブラウザなどが搭載された7.0シリーズの狭間において6.0はやや機能面では精彩に欠ける感が否めません。
 それでもボクの中ではこのPhotoshop 6.0Jが『これがよいPhotoshop』であるという印象があります。

いつもの起動画面

 まずは起動画面から。
 この目と色が懐かしくて仕方ありませんね。
 まあ目と色合いはほぼどのバージョンのPhotoshopでもいえる事なのですがね。

 総合的に違和感がないというか、確かに現在のCC(2015)からすれば足りない所が多い気もしますが、ボクが普通に絵を描くにはこれで十分なのではないかと思います。
 前バージョン5.5Jからの違いは、主に以下の通り。

・UIの変更
結構革新的だと思います。
 UI面での変更は、ツールオプション(オプションバー)が画面上部に常時表示されるようになりました。
 これは現在にまで続くUIであって、ツール毎にツールオプションの大きさが違って使いにくいという問題を是正するための変更であったと思われます。
 オプションバーのおかげでツールパレット類の配置での自由度が上がることになります。端的に言うとスッキリさせられます。
 これに関連してブラシパレットがこれまでの独立パレットではなく、オプションバーの中に格納されることになります。

・ベクトルシェイプ
背景づくりがかなり楽になった?
 これまではビットマップで直接描いていた線や矩形などの図形をベクトルデータで描けるようになりました。これにより一度描いたら変更するには消すしかなった図形の大きさの変更などが容易になりました。
 Photoshopも5.5Jの頃まではSAIのように図形描画ツールがなかったんです、不思議!!。
 前バージョンの5.0J/5.5Jでwebデザイン方面を意識し始めた影響もあり、この6.0Jは原始的なレタッチツールからデザインツールへの変貌を開始した記念碑的な機能ではないでしょうか?。
 PhotoshopにIllustratorの機能を付加するという方向性は、これ以後のPhotoshopのバージョンアップでのお約束となります。

・レイヤーの枚数上限の変更
 6.0J以前のPhotoshopではレイヤーの上限枚数は背景+99枚の合計100枚でした。
 昔はレイヤーを重ねれば重ねるほどPCに負担がかかったので、適当なところで統合してPCのリソース低減なんかをしていましたが、それでも大規模な画像ではレイヤ枚数がどうしても嵩んでしまいます。
 それに状況に応じて変更をする必要に迫られた時、統合されたレイヤーの元画像ファイルを変更して統合し直して元の画像ファイルに戻す、という作業が出てきます。
 これがせいぜい数回なら仕方ない手動でもいいかと思いうかもしれませんが、何度も何度も変更が加えられるとかになると流石に煩雑さを何とかしたくはなるでしょう。
 PCリソースに因るところならその性能を上げれば済むかもしれませんが、ソフトウェアの仕様による問題はソフトウェアの仕様変更に求めなければならないのでこれはこれで困った問題です。
 Photoshop 6.0Jでは一挙に8000枚という800倍ものレイヤーを保持できることになったので、大規模な画像でも十分に対応できるようになりました。
 また、このバージョンからレイヤーの色分けが可能になりました。
色分け地味に好き。
 地味な機能ですがこれも結構重要だと思います。次のレイヤーセットとの合わせ技で編集画像のレイヤ構成は非常に見やすくスッキリしたものになります。
全然覚えてなかったwww
 余談ですが、この頃のPhotoshopにおけるクリッピングマスクの設定は、レイヤータブの横にあるサブメニューや右クリックから選ぶのではなく、上のメニューのレイヤータブから選択しなければならず、とても不便でした(あまり印象に残っていなかった)。

・レイヤーセット(レイヤーフォルダー)
ビフォーアフター
 前項のレイヤーの上限枚数の変更に伴って、レイヤ数が増えてくるとレイヤの管理が煩雑になってくるのに合わせてレイヤーを階層管理できようにするのがこのレイヤーセットです。
 この頃になるとPCのパワーもかなり向上してきたので、昔のようにレイヤをまとめなくとも編集することができてきたので、更にレイヤ枚数増に拍車がかかってきました。
 これまでは古のMS-DOS 2.0以前(解る人だけ解ってください)のように階層ディレクトリ機能がなかったので、レイヤは全部一つの場所つまりレイヤーパレットに羅列されることになります。
 クリッピングマスクなどがあるとそのレイヤ数は一気に増えるので、更に管理は面倒になってきます。
 レイヤーセットの実装により、ただでさえ見づらいレイヤの並びを整理することができ、レイヤのタブ内で現在編集しているレイヤを一望できるようになりました。編集するときだけレイヤーセットを展開して編集が終われば閉じておけばいい。
 Photoshop 6.0Jではたった一階層しか掘れないレイヤーセットでしたが、それでもあるのとないのとでは画像編集に関してこれほど有用な物はないと思えるものでした。

・文字ツールの変更
ラスタライズ!!!
 これまでのPhotoshopでは文字の入力はCADソフト的な文字入力用の別画面が表示され、そこから文字の字体や大きさや属性などを決めていました。
 Photoshop4.0J以前はテキストも通常のレイヤと同じ扱いだったのですが、Photoshop 5.0Jからは文字レイヤとして再編集が可能になりました。
 今回のPhotoshop 6.0Jからは現在のバージョンCC(2015)のような文字パレットやダイレクトな入力方式で文字入力ができるようになりました。
 これは直接絵描きには関係のないのですが、何気に画期的な機能であると思います。
 また今回のバージョンから文字レイやから通常のレイヤにするためのラスタライズ機能などが実装されました。
 レイヤを”ラスタライズ”する。
 その文化(笑)はこのPhotoshop 6.0Jが起源になるわけですね。

・パスツールの変更
パスツールの変遷
 パスツールはやっと現在のCC(2015)と同じツールメニューとなりました。
 ペンツール(ペン+の状態)でCtrlキー(ポイントの選択・移動)とAltキー(アンカーの編集)を使ってのパスを引いていくのがボクの往年のやり方でした。
 このペンツールだけでアンカーの追加と移動と削除と編集(アンカーの腕を伸ばすヤツ)が全部できるのでいちいちツールを変えることなく使えるので非常に効率の良いツールだったと思います。

 さて。
 当時のPCはPentium4が隆盛を極めていた時期。
 Nothwoodコアの3GHz超のモデルは当時は爆熱爆速で通っており、ボクも3GHzのPentium4でこのPhotoshopを動かしていた記憶があります。
 そのPentium4用(SSE2命令)に最適化するためのプラグインなんていのもありましたね。
 そういえば前回のPhotoshop 5.xシリーズにもPentium III用に最適化するプラグインなんていうのもあった気がします。

このアップデートwww
 あと外せないのは恒例のアップデートであるPhotsohop 6.0.1
 バグフィックスとペイントツール・ブラシ・ピッカーへの追加機能ということで。
 これまでのPhotoshopのブラシツールでは右クリックをしてもブラシパレット(ピッカー)は表示されず抽象的なメニューが表示されるだけでした。それなのでブラシパレットを常時表示させておく必要があったのです。
 それが今回のPhotoshop 6.0Jのオプションバーの採用によってブラシピッカーへは常時アクセス可能となりましたが、オプションバーまでいちいちカーソルを持って行くのは面倒だし、だからと言ってオプションバーを近くに持ってくるのもまた取り回しが悪くなります。
近世Photoshopの幕開けぜよ
 右クリック(Enterキー)よってブラシパレットを呼び出し選択することができるようになり、ブラシの変更が容易にそして劇的な作業効率のアップにつながることになりました。
 これも現在のPhotoshop CCに繋がる基本的な機能の一つとなっています。
 Photoshopは往々にして重要な機能をマイナーアップデートで入れ込んできたりするのでアップデートは侮れません。

ギャラエン!タンポポール
 何度も言ってる気がしますが、正直新機能についてはPhotoshop 5.0J/5.5Jのような革新的なものはなく、これまでの機能の拡張的なものばかりで非常に地味という印象を拭えません。
 ですがボクが世間一般に評価されているPhotoshop 5.0J/5.5Jよりもこの地味なPhotoshop 6.0Jを評価するのは一重にレイヤーセットが実装されたという事に尽きます。
 これのおかげでどれだけ絵描きがやりやすくなったか、後に差分画像においてレイヤーカンプともども大いに威力を発揮することになるのですが、それはまだ6年ほど先の話ですね(笑)。
 またギリギリ現行のPhotohsopと同じようなUIであるので、Photoshop 5.xJシリーズから現行CCシリーズに乗り換える人(まあほぼ皆無だとは思いますが)にとっては操作に違和感が出にくい、また何かで旧いPhotoshop 6.0Jを使う事になった時でも比較的直感的に使うことができるのではないかと思われます。
 これは書いていて苦しい・・・。

ななか6/17の野川の人
 ・・・・・・とまあ歴代Photoshop至上でも特に微妙な感じのするPhotoshop 6.0Jですが、ボクとしては最低限絵描きのできるのがこの6.0Jであり、CS以前の古典Photoshopのなかでは一番強い印象があるバージョンであると言えるでしょう。
 郷愁にせよ懐古にせよPhotoshop 6.0Jを久々に起動させてみて、後々に知った機能が既に6.0Jやまたそれ以前のバージョンで実装されていたと知ると、偉そうに歴代Photoshopを使ってきたかのように書いているボクも所詮曲学阿世の徒と言わざるを得ません。
 所詮同人絵描きが独学で覚えたPhotoshopスキルではその程度のものという事なのでしょうね。

 次回(が何時か不明ですが)は古典Photohsopの最終バージョンともいうべきPhotoshop 7.0J。
 友よ、覚えているか。あの絵描きの日々を。


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