2014,10,25, Saturday
これまでにリリースされたPhotoshopを動かしてみてあーこんな機能あったよねーとか今では普通だけどこの当時はかなり新鮮だったよねーとかそういうような過去を懐かしんでみようという後ろ向きな企画ですが、今回はもう4回目を迎えました。 とうとうきました。 何故か絵描きの玄人に好まれているというPhotoshop 5.5Jについて書きたいと思います。 当時Photoshop 5.0J~5.5Jに至る道程そのものがよくわかりませんでした。 そもそも5.0のマイナーバージョンアップ(Photoshop 4.0→4.0.1)なのか、メーカー的にはわざわざ別パッケージで出しているのでメジャーバージョンアップ扱いなのか?。 メジャーバージョンアップならば何故".5"扱いなのか?。 今回はその謎に迫ってみましょう(ウソ)。 Photoshop 5.5Jの特徴として挙げられるのは同梱されているAdobe ImageReady 2.0でしょう。 ImageReadyはWeb画像制作に特化したソフトウェアです。かつてはあのMacromedia FireWorksと覇を競っていました。 ImageReadyはPhotoshop 5.5Jにバンドルされる以前にAdobe ImageReady 1.0という単体パッケージで販売されていましたが、例のFireWorksのシェアにはそれほど食い込めなかったようでして、それで戦略を変えて次のバージョンからはフォトレタッチでは圧倒的なシェアを持っているPhotoshopにバンドルすることにより、ImageReadyの浸透を狙ったようです。 その後MacromedeiaがAdobeに買収されてしまい、Macromediaのソフトウェア資産はAdobeブランドとなったことによって、ImageReadyの機能はPhotoshop CS3 Extendedに統合されることによって消滅することとなります。 一方のFireWorksはAdobeブランドとなった以後も、CS6の世代まで開発は続いています。 ま、そんなことを書いたので触りだけでもと思って使ってみると、ソース画像と出力結果のバリエーションが表示されたり、今回は使いませんでしたがGIFアニメーション用のタブがあったり、カラーコードが標準でHTML用(Webカラースライダ)になっていたりと、Photoshopのインターフェースを踏襲しながらもWeb向けにカスタマイズした感じが漂っていますね。 だいたいモデムの通信速度による画像表示時間算出とかねもう当時の時代背景を色濃く残していますね(笑)。 Photoshop 5.0J以降ではICCプロファイルによるカラーマネジメントシステムが搭載されているのは前回書きましたが、今バージョンからはモニタの簡易調整ソフトウェアがバンドルされています。 それがかの有名なAdobe Gamma。 実はPhotoshop 5.0Jに同梱されていたのですが、取り上げるのは今回の5.5Jになりました。 絵描き以外でもゲーミング世界などで何故か利用されるという超メジャーな簡易ガンマ調整ツールです。 この画面。 懐かしいですAdobe Gamma。 Windows2000の時代にIntuos2を使ってPhotoshop 6.0JをAdobe Gammaでキャリブレーションして使う・・・・・・っていうのが2000年台前半の絵描き廻りの基本設定でしたからね。 当時は経済状況がよくなかったためにそれほどPC機器の入れ替えもできなかった時代ですし、Windows2000とAdobe Gammaは古き良き時代の象徴と言っても過言ではない気がします。 今の複雑怪奇に混み入った環境から比べればそれだけえ済んでいたのですからスマートにも程がある。ああ、できる事ならあの頃(のスマート環境)に戻りたい・・・・・・。 起動時に結構な確率でAdobe Gamma Loaderが読み込んでくれなくて、手動で起動したりしていたような記憶があります。 この赤い帽子をかぶった笑顔の貴婦人画像とか懐かしすぎる。 実際にこれでどの程度正確にキャリブレーションできたのか解りませんが、Adobe Gammaの設定をしたぞ!、という儀式を経ることによってなんとなく色調がいい感じになっている?、という気がしていただけなのかも知れませんね。 このAdobe Gammaはこれ以降CS3の世代までPhotoshopに付属しています。 割と最近のバージョンまで付属していたので、ボクだけでなく皆様にもお馴染みなんじゃないのかな、と思います。 さて。 恒例のメニューバーの感想コーナー。 冒頭のPhotoshop 5.5の ".5"って何によ?、とはImageReadyとの連携が密になったのが大きな変更点tっていうのは先ほども書きました。 メニューバー的にはアプリケーションジャンプボタンが追加されましたね。 レイヤ効果だとかをそのままImageReadyに持っていくことができます。 アプリケーション間のシームレスな連携のための機能という事なのでしょうね。 ちなみにこのアプリケーションジャンプボタンはPhotoshop CS2(ImageReadyバンドルモデル)の世代まで採用されています。 ボクは正直言ってほとんど使った試しがないのですが・・・・・・。 それ以外はPhotoshop 5.0とそれほど変わらない感じですね。 まだ前バージョンでのウリだったパスのマグネットツールも表メニューにありますし。 あんま語るところなしかよ!。 前回書き忘れてさらにImageReadyと連携のところでさらっと書いていますが、Photoshop 5.x世代から地味にレイヤ効果が使えます。 別に地味ってわけではないのですが。 まだまだ効果のバリエーションは少ないのですが、それでもレイヤ効果が実装されているのはある意味驚きでした。 もっと後のバージョン(7.0~CSあたり)にならないと使えないものだと思っていたので。 もちろん当時はレイヤ効果なんて知る由も使ったことすらなかったですよ!!。 (昔の)Photoshopでよくあるある事例コーナー。 ・JPEG形式で保存するには画像を統合しなければならない これは久々に旧いPhotoshopを使っていて思い出したことですね。 この頃のPhotoshopはJPEGでの保存時にレイヤを勝手にまとめてくれないので、画像を統合しなければファイル保存ダイアログでJPEG形式が選択できません。 またRGB以外に作ったチャンネル(マスク)があるとこれまたJPEGなどの汎用フォーマットがドロップダウンメニューに出てきません。 当時ならそういうものだという感じで受容していたのですが、現代の勝手に画像を統合して保存してくれるのを使ってしまうとやはり利便性的には圧倒的に不満なわけでして。 CG集用の画像書き出しなんかではいちいち画像の統合しなければならなかったという面倒臭さも当然ながらにあります。 このような理由より多段階アンドゥの需要が高かったという側面もありましたよね(強制)。 ・画像の拡大・縮小を縦横比を固定してするにはShiftキーを使う 昔は普通にやっていた気がしますし、今でも古参のPhotoshop使いの方々は普通にやっていることだと思いますが、ボクは何時しか(CS2辺りか?)拡大縮小時の縦横比固定ボタンに依存するようになってしまいました。 それがちょっと前にPhotoshop 5.0しかない環境で作業をすることになった時に、拡大縮小時の縦横比の固定ってどうやってるだっけ?、と思った時に気づいた(実は先任者に聞いた)事だったのです。 いやー長年Photoshopを使ってきたアピールをしてきたボクでしたが、所詮は独学の徒(三国志演義の王平みたいなもんですかね)。Photoshopの習熟度がツールによって極端過ぎて情けない限りです。これも絵描きという偏った使用環境のためだとしか言いようがありません。 ・ブラシパレットを表示していないとブラシを選択できない 最近のバージョンではブラシツール使用中に右クリックをするとブラシパレットが表示されるため、常にブラシパレットを表示させておく必要性ありません。 Photoshop5.5Jまでは画面上に常設ツールオプションバーがなく、更に右クリックでも「次のブラシ」とか「前のブラシ」、「最初のブラシ」や「最後のブラシ」など明らかにブラシパレットが表示されているのが前提のコマンドが用意されています。 ブラシをカスタマイズしていくと自ずとブラシ数が増えてきますので、常時表示しておくと画面領域(=作業領域)をブラシによって圧迫されてしまいかねない状態になったりします(特に90年代末の低解像度時代においては)。 ・テキスト入力と修正が面倒 Photoshopが画像修正アプリケーションであることを如実に表しているといってもいいかもしれません。 特にPhotoshop 3.0J / 4.0Jでは入力したテキストの修正はできません。 4.0Jではテキストを別レイヤに出力してくれるようにはなったものの、テキストレイヤという属性ができ修正ができるのはPhotoshop 5.0J以降となり、画面にダイレクトにテキスト入力ができるのは次のPhotoshop6.0Jを待たねばなりませんでした。 さて。 最新のWindowsは64bit化されていまして、Photoshop 5.5Jなどの16bitアプリケーションは当然公式的には対応しているはずがありません(という64bit Windowsでの使用を想定していない)。 ですが、世の中には物持ちのよい人々というか諦めの悪い人々というのが存在していまして、Windows 8.1 64bitでPhtoshop 5.5Jを動かそうという人が若干ながら存在するようです。 いつの時代もアプリケーション本体は動くのだが、その他の足回り(インストーラ)などの問題によってインストールできない=使えないという状態になってしまっているようです。 それならば、エミュレータ上の旧OS(Windows XP)などに展開・インストールされた状態からファイルを持ってくれば動くのではないか?、これは案外当たりだったりします。 64bit Windowsだとアプリケーションのインストール先がProgram files(x86)→32bitとProgram files→64bitに別れてしまい、更にWindowsのシステムフォルダsystem(16bit)もsystem32(32bit)とsyswow64(32bitエミュレータ)に分かれています。 なのでdllなどを適切なsystemフォルダにブチ込んでおけば64bit Windowsでも32bitアプリを動かすことができるのです!。 要はインストーラ仕様(当時のインストール位置)の問題と帰結する問題が大きかったりします。まあこれだけではない事もありますが。 っていうことで、そこら辺を解っている人は64bit WindowsでもPhotoshop 5.5Jを動かしたりできるようですね。 「古いものを末長く大切に使いましょう計画」はClassic Mac信者であったボクとしては非常に懐かしく思うと共に、Windowsでも根本は変わらない(精神はともかくやり方は大きく変わっていますが)のだなと感慨に耽る次第です。 ちなみにボクの環境でもやってみたのですが、どうも画面は出るのですが、例の起動画面が出て来ずにそのまま固まっている状態となってしまいました。 構成しているハードウェアの問題とか、インストールしているソフトなんかの絡みがあるのでしょうから、必ずしも自分の環境で動作するとは限りません。 もともとメーカーの動作確認範囲外で使っているのですからね。 前回のPhotoshop 5.0Jに比べると色々と息抜きみたいな感じになってしまいましたが、まあ基本的にマイナーバージョンアップのソフトをメジャーバージョンアップ扱いで売りに出していたわけですからあまり変わりがないというのは自明の理でして、本当の意味であるあるネタ中心になってしまいましたね。 (写真はMac版です) 一部の絵描きの人々に今も愛され続けているPhotoshop 5.5Jは、古典Photoshopの中で完成の域に達した最初のPhotoshopであったともいえます。 これまでのPhotoshopでは作業をするうえで足りない機能(特に多段階アンドゥ)があったのに対し、Photoshop 5.5Jにてやっとそれらの障害がなくなったバージョンになりました。 Photoshop自体が高価だったことも考えても、新しいOS(Windows)になっても使えなくなるまでそのバージョンのPhotoshopを使い倒そうと思うのは不思議なことではありません。 その使い勝手と「旧いものを末永く大切に使いましょう計画」のバランスがよかったのが今回のPhotoshop 5.5Jだったのでしょう。 細かい理由はともかく、Photoshop 5.5Jが絵描きの人々の記憶に残るバージョンであったことは言うまでもありません。 いや、現在進行形の人もいるのですからね。 本当に息の長いバージョンですよね。 多分今年の歴代Phoroshopネタの更新はここまでになりそうです。 次回(が何時になるか解りませんが)「Photoshop 6.0J」。 Photoshopの歴史がまた一ページ(屋良有作声)。
| ヲタク::Photoshop | 03:28 PM | comments (x) | trackback (x) |
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