2014,07,12, Saturday
さて。 とうとう3回目を迎えました歴代Photoshopを使ってみてこんなのあったねーとかこんなの知らなかったよーとかそういうのを絵描き視点から書いてみようという今回の企画。 ボク自身のPhotoshopスキルがそれほど高いわけでもないので、もっと技術的なことが書ければいいのですが、所詮は場末の自称絵描きの分際がPhotoshopを骨までしゃぶるような使い方などするわけがないので、どうしても表面的なことばかりをなぞられるだけになってしまいがちです。 そのあたりをご甘受願って今回も進めていきたいと思います。 今回はみんな大好きPhotoshop 5.0J。 前回のPhotoshop 4.0Jにおいて、やっと現代に通じるようなUIになり、見た目は遜色ないものとなりました。 ナビゲーターにより全体表示と拡大・縮小・移動が行えるようになり、瞬時にその場所へ任意の倍率で表示することができるようになりました。 これはある意味タブレットなどのデバイスに対応するという意味合いもあったのかもしれませんね。 アクションなどの自動操作機能は後のバッチ処理やスクリプトなどに繋がるものですし、レイヤーの変形なども今のバージョンのように自由変形機能が追加されています。 今回の5.0においては、4.0でひとまず実装された機能をより実用的に拡張しています。 その前に、5.0の最大の特徴を挙げておきます。 もちろんICCカラーマネジメントの事・・・・・・は後回しにして(笑)、何といってもヒストリーパレットの実装でしょう。 これまでのPhotoshopではアンドゥは一つ前の段階までしか戻すことができませんでした。 昔の人はどう絵を描いていたんでしょうね(笑)。 まあなければないなりに描いていたはずですが、今となっては謎の技術としか言いようのない気がしますね(一応ボクもその道を通ってきたはずなのですが)。 一つ前にしか戻れなかったアンドゥ機能がこの5.0からはデフォルトで20段階、増やす気になればもっと増やすことができるのですからこれはすごい。 一発描きでCGを描いている人なんてそもそも存在しないと思います。 どんなに上手い人でもこのアンドゥを使わずに描いている人など存在しないと思って間違いないでしょう。 「間違えても前の段階に戻せる」という担保があるからこそCGで描いているわけですし、それこそがデジタル絵描きの真骨頂というべきでしょうね。 アナログ画材ではそもそもやり直し自体ができないことが多いですし。 その点PCではいい線が引けるまで何度もやり直しができ、基本的には他の部分に影響を及ぼさないでやり直しができるのですから素晴らしいものです。 そのやり直しが1回から一気に20回になったのですからこれは間違え放題やり直し放題無茶祭り状態ですよ。 描き込むレイヤが違うことに気づかないままちょびっと作業を進めてしまった時などには多段階アンドゥは使えますよね。 あとは、CG集なんかで差分画像を切り出す時などにも、目的の差分のレイヤを表示させ書き出し、また戻して一部だけ違うレイヤに差し替えて書き出し、なんていう事もできるようになりました。 ま、そういった時には各差分ごとのファイルを作ったほうが早いのでしょうが。 最大ヒストリーを増やしすぎるとメモリを圧迫するので、当時のPC環境ではそれほど大きくしていなかった気がします。 ともかくこのヒストリーパレットはレイヤー機能と同じくらいにPhtoshopの根幹をなしているといっても過言ではありません、というかPhotoshopで作業をする上では必須になります。 さて、やっとICCプロファイルによるカラーマネジメントについてです。 もともとMacintoshではColorSyncによってOSレベルでカラーマネジメントに対応していて、Photoshop3.0Jの時代からそれ上で運用しているのが前提だったのですが、Windowsではそのようなシステムが存在しなかったので、少なくともPhotoshop上ではMac/Windowsに関係なく色彩を再現できるようにした、というのがこのカラーマネジメントシステムということです。 Widowsに関してはVistaになってやっとOSの機能としてガンマ調整が付いたり、マルチモニタ環境で個別にプロファイルが指定できるようになったくらいですから、Windowsの色管理は推して図るべきではないかと思います。 まあカラーマネジメントなんてのを大まかに書いてはみましたが、絵描き・・・特にCG集に関してはWeb上(画面)で見る絵がすべてなので、ぶっちゃけ細かいプロファイルは関係がない気がします。 そもそも見ている側が描いている側と同じ環境であるとは限らないので(というかそのはずがまず有り得ない)、描いている人の色彩と見ている人の色彩が一致する事はありません。 などと最初からある意味諦めている感じなので、そこまでカラーマネジメントについて意識しておりませんでした。 今世紀に入り同人活動などでCG集の絵を実際に印刷したり、自分以外の絵を出力してその色合いについて色々と言われるようになったりして、やっとカラーマネジメントに意識を少しは向くようになりましたが。 ボクらのサークルのCG集収録画像については最終的にはプロファイルを埋め込んではいません。Photoshopの設定も『モニタの設定に合わせる』としています。 PC画面的にはテレビ画面と同じ9300K向けに作られいるものが多いのでそれに合わせるべきなのでしょうし、昔は色温度を高くする設定をしていた事もありました。更に安価なモニタでもサポートされているsRGBにターゲットを絞ってプロファイルを設定すれば尚更です。 モニタスペックの最大公約数的に見てもターゲットをsRGB・9300Kにしておくのが無難だと思うのですが、そもそもボクとイクミたん氏との間でも色が違うんじゃないのかとかいう話になったりするので、結局は見てもらう人の環境に依存する以外にないのではないかと思う次第です。 このようにしてノーガード戦法を選ぶことになりましたが、これは見てもらう方々のPCに表示されたCG・色がその人にとっての真実なのである、と書けばカッコイイ感じになりますが、結局そのあたりが限界なのではないかと思っているのもまた事実です。 ちなみにボクの制作環境では 輝度 : 80cd 色温度 : 5500K 色再現域 : AdobeRGB ガンマ : 2.2 という設定にしております。 キャリブレータ付きのモニタ FlexScan SX2462Wによって定期的(100時間)にキャリブレータによる校正を行いっています。 この辺りはもう無駄スペックを使っているというより他ありませんね。 その設定ができるからやっている、としか。 最終的には色についてもそうですが、だいたいそんな感じ、というのが伝わればいいのではないかと思っています。 一から十まで自分の思っていることを全部を伝えるのは非常に難しいですからね。こちらが意図していることが伝われば十分だと思います。 Photoshopシリーズでは廉価版/機能縮小版として3.0時代にはLE-Jがスキャナなどの画像入力装置にバンドルという形で同梱されていました。 そのLE-J版にはフルバージョンへのアップグレードの案内と申込書などが付いていて、LE-Jからフルパッケージを買う金額よりも安くフルバージョンへのアップグレードをすることができました。 LE-Jはあくまでもバンドル版の範疇を超えなかったのものですが、このPhotoshop 5.0JをベースとしたPhotoshop LEは廉価版としてパッケージ販売されました。 Photoshop LEは次バージョンからPhothoshop Elementsと名前を変えてPhotoshopファミリーの中堅を担うこととなります。 これと前後してPhotoDeluxeというソフトも販売されましたが、こちらの方がLE/Elementsよりもやや下位互換的なもので、デジカメ画像の調整や管理的なことに主眼が置かれていておりました。 後にPhotoDeluxe系統も2000年前後でElementsに集約され現在に至る事になります。 Photoshop 5.0Jの概略についてはこのくらいにして、まずはインストール。 おお、インストール画面が見慣れたヤツになっていますね。 業務用とか個人用やら姓名の入力が別になっていたり、会社名や役職名の項目がありますね。Photoshopは作っている人も使っている人も基本的には業務用ソフトであるとの意識が高いという事なのでしょうね。 その後、Photoshop 7.0Jまでは基本的にこのインストール画面が使われています。 Photoshop CSからは大幅に変わってしまいますが、この5.0~7.0まで使われたインストール画面が一番馴染みの深いものであります。 そして起動。 ツールメニューはPhotoshop 4.0Jのものと大きさは変わりませんが、順番や内容などが結構変わっていますね。 Photoshop 5.0Jからは、Ps(Printscreen)の画面を新規画像で貼り付けることができます。 何気にこれまでの歴代Photoshop企画のキャプはこのPrintscreen貼り付けができなかったので、イメージングに貼り付けてからbmpで保存してからPhotoshopにて加工していました。 Printscreen→イメージング(bmp)→Photoshop(psd)→Web(jpeg) だったのが、 Printscreen→Photoshtop(psd)→Web(jpeg) のように一工程減るので、これはこれでよい事だと思いますね。 相変わらずエアブラシとペンと鉛筆は独立していますが、5.0からはヒストリーブラシツールが加わりました。 現状の画像をある時点のヒストリーパレットの画像に置き換えるというものです。 能書きを書いただけではよく解らないでしょうしボクもよく解らんので、実際にやってみることにします。 まず、この謎のデジカメ画像()を用意します。 そしてこの画像の彩度を下ます。 白黒画像のDLSite様から貰ったへべれけビールだけをヒストリーブラシで塗ると・・・・・・。 ヒストリーブラシで塗ったところが彩度が下がる前の状態(つまり色付き)になりました。 よく「名車再生! クラシックカーディーラーズ(Wheeler Dealers)」でやっている効果ですね(笑)。 あとは「ものさしツール」が目を引きますね。 これも5.0から搭載されたツールです。 デザインなどで使う場合にはオブジェクトを等間隔に配置したりする時に使いますし、デジカメなどの画像から対象物の大きさを求めるような画像解析にも使える感じですし、某アニメグラビア雑誌から個人の鑑賞目的のためにスキャンしたピンナップが曲がってスキャンされてしまった際に角度のズレを補正するのに使ったりできます。 例えばこのガルパンOVAの劇場パンフレット。 なんでこんなに傾けてスキャンしているのでしょうかねー。 でもこのスキャン画像も「ものさしツール」で傾いたところを指定して、回転ツールの角度入力を指定すると自動的に傾きの角度が入力されてあら不思議、画像が平行になってしまいましたね。 今更ながらPhotoshopすげーと思ってしまいますね。 Photoshopの進化がまさにDTPの進化の一部に該当するのではないかと思い(大多数はIllustrator発祥だとは思いますが)、それをなぞることによってDTPの歴史の一部に触れていると思うとそれはそれで感慨深い気がしてきます(思い上がり)。 CCを迎える現代においてはオプションバー内でのチェックボックス扱いになっていますが、この当時は最新機能でした。 5.0の特徴でも書きました通りのヒストリーパレットがやはり目を引きますね。 このおかげでどれだけの絵描きが救われたことか・・・・・・。 今回登場した「マグネットパスツール」は画期的なツールでして、輪郭周辺をなぞると自動で輪郭を取ってくれるという素晴らしい機能でした。 会社なんかで自社製品のカタログを制作するDTP担当などは、自社製品のデジカメ画像から製品の輪郭抽出などを多用するでしょうから、このマグネットパスツールはとても重宝する機能だと言えるでしょう。 ・・・・・・あの時この機能を知っていればあんな面倒な事しなくてもよかったのにー(後悔)。 正直今回のPhotoshop企画を進めるまではこんな機能まともに使ったことがなかったりしています。 基本絵描きに関係しそうな機能以外はほぼスルー状態なもので。 だから今回のようなPhotoshopの歴代バージョンにおける新機能の紹介などをすることは、自分にとってもPhotoshopというものの汎用性の高さと機能の奥深さを知ることができてよい機会となっていますね。 ある一部の絵描きの人の間ではこのPhotoshop 5.0Jは厚い信頼があるようでして、未だに5.0で絵描き作業をしている人が多いと聞いています。 それはやはりヒストリーパレット機能によるアンドゥの回数が飛躍的に増えたことが影響しているのではないかと思います。 絵描きに最低限必要な機能が揃った初のPhotoshopというべきバージョンがこのPhotoshop 5.0Jなのではないかと思います。 Photoshop全体的に見てもDTP機能を強化し、尚且つ廉価版Photoshop LEのパッケージ化などというように、拡販の準備を進めたバージョンとなりました。 これが後に続くPhotoshop神話に繋がる礎になったのは言うまでもありません。 てなわけで、やっとPhotoshop 5.0Jのレビューを終わらせるとができました。 本当は草稿はかなり早く出来上がっていたのですが、三次元の事情とボクのヤル気の問題のために今日まで遅れてしまいました。 まあ多分そんな感じでこれからも何とか続けていきたいと思っていますので、過度な期待をしないで見守っていただければ幸いだと思っています。 それではまた。
| ヲタク::Photoshop | 01:31 AM | comments (x) | trackback (x) |
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