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歴代Photoshopを振り返る(2)
割と地味目なPhotoshop 4.0J
 Windowsでは、というか実際に絵描きに認知されるようになったPhotoshopは、レイヤ機能が実装されたPhotoshop 3.0J以降からだと思います。
 そのレイヤ機能はレイヤフォルダ化されたりはあるものの、現行のCCに至るまでほぼそのままの形をとどめていますし、それ程変わっていないという事は基本設計がいかに高かったかが解ります。
 この高機能のフォトレタッチ絵描きツールは1996年にPhotoshop 4.0Jがリリースされます。
 さて、このPhotoshop 4.0Jは当時はMacで使っていた気もしますが、すぐに5.0に乗り換えてしまった気もしますし、後継の5.xシリーズの方が後世からの評価が高いので、どうしても記憶の狭間に陥ってしまいがちです。
 当時の記録を掘り起こしてみても、具体的に何時頃までMac使っていたのか明確な確証は得られなかったのですが、ともかく使ったことのあることはこの画面構成を覚えているので確かです。
 今回はそんな(ボクの中では)印象の薄いPhotoshop 4.0Jと再会してみようと思います。


前バージョンを上書きとか!
 久しぶりに4.0をインストールしてみると、前回解説したPhotoshop 3.0Jと同じフォルダに書き込んでるじゃないですかー!。
 なんですかこれーおかしくないですか?。
 まだこの当時は本当のバージョンアップ版って感じなのでしょうか、バージョンごとに別フォルダに別れてはいなかったんですね。
 新鮮というかビックリというかよく考えたら当たり前だよねというか。

見た目は近代化されてきたw
 前回のPhotoshop 3.0Jは時期が時期だけにというかWindows3.1上でも動作するアプリだったために、見た目(GUI・ビュー廻り)もWindows3.1ライクな感じになっていましたが、4.0になるとやっと現在に通じるGUIになってきます。
 インストール後の起動時に見たことのある画面配置ですよね。
 ナビゲータウインドウの存在も見えますし、縮尺表示も対比(1:x)からパーセント表示になっています。

ツールバー廻り
 Photoshop 4.0でメニューが複数コマンド化されました。
 またパスツールがパスのタブ内から表メニューに移動してきましたし、範囲選択ツール内に切り抜きツールが移動しました。
 各ツールの並びが3.0とは微妙に違っていますし、移動ツールやスタンプツールのアイコン形状も変更されています。
 3.0ではとりあえず配置されていた感じだったツール類を、選択・ペン類・編集・画面移動などといったようにカテゴリ分けしたような配置になっていますね。

ストレンジ・ドーンwwwwwwwww
 Photoshop 4.0で追加された一番有名な機能はやはりアクション機能ですね。
 コマンドやコマンドの引数(数値設定)を記憶して一度に再生できるという一種のマクロみたいな機能ですね。
 フィルタのように特別プログラム知識がなくとも、似たような画像処理ができたりするので、定型の処理行いたい場合はアクションに登録しておけばそれを再生するだけで済むという非常に画像処理を専門に行う人にとっては融通の利く機能でした。
 しかもそれをその場で自分で作成・編集できるというのがフィルタとの一番の違いですね。
 Photoshop 4.0の発売に併せて、アクション集なんていうのもパッケージ化されて販売されていたのを見た記憶があります。
 まだインターネットが一般社会に普及していない黎明期だからこそでしょうが、今ならちょっと手の込んだアクションなんてネット上で手に入れられますからね。
 よい時代になりました。
 絵描き的にアクションがどう使えるのかというと、まあ普通に絵を描く分は必要ない機能と言わざるを得ません。
 アクションはどちらかというと画像を特定のフォーマットに落としたり、幾つもの画像に同じ処理をする時に省力化される機能なので、ただひたすらペンと消しゴムを使うだけの絵描き作業では使い道がないわけです。
 使うとすれば絵描き実作業の前段階の処理(主線加工)や後段階の加工(ディフュージョンやグローとか)に使う感じですかね。
 鉛筆描きの際には、鉛筆線を抽出するのに線画抽出のアクションを使っています。
 ま、手動でやってもあまり速度的には大差はないのですが(笑)。
 またこれはちょっと特殊な使い方ですが、アクションからPhotoshopスクリプトを呼び出して使っています(自動でファイルに書いておいたレイヤを作るのとか、入力したレイヤ名+影レイヤを作成するのとかCG集用に画像を縮小・書き出しするのとか)。

調整レイヤ挿入
 あと今回Photoshop 4.0Jについて調べるまで知らなかったのが調整レイヤー機能がもうこのバージョンで実装されていることですね。
 これも絵描き面ではあまり関係ないのですが、色調補正をレイヤとして挿入できるので、元画像に影響を及ぼさずに色調補正・修正ができるというものです。
 複数のレイヤがあるとそれを統合して補正をかけることになりますし、補正結果を調整したい場合などはまた元画像から処理のしなおしになります。
 それが調整レイヤでは挿入した場所以下のレイヤ全てを補正対象とできます。
 印刷の際に全体的な色合いの調整を行うときなどにはよく使いますね。

 意外にもまだPhotoshop 4.0の時点ではアンドゥは1段階までしか戻せなかったんですよね。
 それが複数段階アンドゥになるのは次の5.0以降になります。

CMSの魁wwww懐かしい設定値www
 このバージョンからカラーマネジメントの先駆けとなる「カラー設定」が搭載されました。
 とはいっても選択できる設定は少なくて基本的に「モニタRGB」だけでした。一番原始的なプロファイルですね。
 モニタのプルダウンメニューには今となっては当時懐かしの機種が並んでいます。Mac系統のモニタに強いのはやはりソフトの出自に由来するものなのでしょうね。
 まだNANAOなんて数機種しか登録がないし、SONYとかHITACHIとかRadiustとかSuperMacとかいろいろな意味で懐かしいメーカーがありますね。
 このカラー設定が後継バージョンの5.0にて現在に繋がるAdobeRGBやsRGBなんていうICCプロファイルが登場してくる事となります。

謀略のBridgewww
 設定関係で懐かしいのは、やはり画像プレビューの保存項目ですかね。
 昔のPhotoshopは画像管理をほぼWindowsのエクスプローラやMacOSのFinderに依存していたので、画像保存時にはサムネイルを作成するのが当然でした。
 CS2以降はAdobeソフト間の連携用のファイルブラウザ・Bridgeがバンドルされ、Bridgeを使うことが推奨されたために画像プレビューは廃止されてしまいました。
 Bridgeの方がファイルの付属情報が見やすいので、すっかりAdobe様に籠絡されてしまったかのようにBridgeを使ってる今日この頃ですが。

画像キャッシュとか意味解らんかったわww
 画像キャッシュの設定も4.0からできるようになっています。
 画像キャッシュは文字通り編集画像をタイル状に分割してキャッシュするというもので、拡大縮小時の再描画の時にそのタイルを見ることができます。
 今でもスペックギリギリで作業したりしていると、描画速度が遅くなったりして再描画時に見ることができたりします。
 この画像キャッシュはCS2辺りではプラグインの変更でタイルの大きさを変える(大きくする)事により高速化ができたり、CS5からは設定メニューからタイルの大きさ(容量)を選択できるようになったりと進化しております。
 画像の大きさとレイヤ数によってキャッシュを持った方がいい場合と、キャッシュを持たない方がいい場合があったりするので、使用環境の都合によってキャッシュレベルを調整するのがよいと思われます。
 PCスペックが上がってもそれに応じて画像の大きさや解像度も上がってきているので、結局現場ではスペックカツカツになるこもとしばしば。そんな時このような負荷軽減法を知っていれば多少は作業がしやすくなるかも知れませんね。

 Photoshop 4.0Jはなんと、Adobe公式ではWindowsNT4.0以降には対応しておりません
 同じNT系統のWindows2000も然り。
 前回のPhotoshop 3.0が仮想記憶の設定をいじらないと起動しなかったり、今回の4.0の動作が不安定だったのもこれで全て納得がいきました。
 1GB以上のRAMをサポートしなったり、2GB以上の仮想記憶がサポートされなかったりするようです。
 当時のPC環境がいかにしょぼかったか窺い知れる内容なのですが、ほぼ当時の環境にて稼動させているボクの再現環境としては何気に切実な事情だったりして。
 なにしろ普通に画像を読み込ませたり、画像を編集することができないくらいの不都合がおこっているのですからね。
 そういえばPhotoshop 4.01Jというアップデートがあって、このアップデートは先程のメモリの問題などを解決しているのですが、いかんせん物持ちのよいAdobeのサイトにも古すぎて残っていない(Adobeのサイトには5.0以降のアップデートがあります)です。
 PCの規格の変遷による過渡的な問題だったので、当たり前のようにアップデートして使っていた気がしますが、今となっては何となしに覚えていたりする程度ですし、その当時はまだアップデートのようなデータを残しておくという習慣が徹底されていなかったので、今の今になって困っていたりするわけです。
 正直言って4.01にアップデートしないとWindows2000では仮想記憶エラーが出て使い物になりません。
 アップデートの捜索は難航し、残念ながら今回は適当にキャプチャしてお茶を濁してしまおうと思っていたのですが、歴代Photoshopを扱おうという今回の企画のたった2回目にして微妙な感じになってしまうのは避けたいと思ったりもして、ひたすら電網上で情報を収集しました。

これが4.01アップデータだっ!!
 情弱のボクのこれまで培ったITスキルの全てを尽くした捜索の結果、無事に4.01アップデータを入手することができました。
 なんかもう奇跡みたいな感じでしたね。
 こうしてPhotoshop 4.0Jを無事に4.01Jにアップデートすることができ、今回のレビューを晴れて描き切ることができました(笑)。

最初期のCG集wwww
 PSDファイルの互換性に関しては相変わらずでレイヤの枚数やブレンドモード(乗算とか覆い焼きとかのアレ)をきちんと判定して警告やエラーを出すとかやっているくらいですね。
 あとファイルの形式での特徴は、4.0からはあのPDF形式の読み書きができることです。
 当時は存在すら知らなかったPDFも4.0の時点で仕込んでいたとは・・・、後々にPDFがここまで普及するとは努思いもしなかったのではないかと(存在を知らなかったヤツが言う言葉ではないのですが)。
 とはいえまだテキストはビットマップで書いているような状態ですし、かなり原始的なPDFしか読み込めないようですすので、書き出しに関しても言わずもがな、という感じですね。

ガイド&グリッドww
 定規ツールは3.0からありましたが、ガイド・グリッド機能はこのバージョンよりの実装になります。印刷屋方面では寸法の精度が必要になる場合が多いので、ガイドとグリッドで位置決めしたりします。
 また定規ツールは相対座標にもできるので、同じ大きさのものを等間隔で作るとかそういう場合に使えますね。
 グリッドは絵描き用途でも背景なんかを描く時には使いますね。
 背景のコンクリートブロックやらガードレールなんかを作るときには楽ですよね。
 アナログでは定規を当てますが、グリッドにスナップさせる事によって実質それと同じような役割をさせることができます。

3.0の変形ww4.0の自由変形wwww
 拡大・縮小・回転・ゆがみなどの変形機能は、3.0ではイメージメニュー内で変形や回転を個別に行っていましたが、4.0になってそれらを一つの変形コマンド内で右クリックで切り換えられる自由変形機能が実装されました。
 自由変形機能だけあれば拡大・縮小を個別に指定する必要はないんじゃないかと思いますが、これもこれまでのバージョンとの互換性を保たせるがためなのでしょう。
 これが転じて、自由変形機能では操作を間違ってしまうとあらぬ方向に回転してしまったりしますが、変形機能から個別に選択して行えばこのような操作ミスは起きにくくなりますので、誤操作防止に役立ちますね。

トーンジャンプ
 あと、それこそ絵描き用途ではあまり使う用途のない16bitチャンネルもこのPhotoshop 4.0Jより実装されています
 まあ階調表現が16bitになるということで、色の表現力が上がるみたいな感じですかね。
 一つのピクセルをを表現するのに16bit必要になるわけですから、当然8bitチャンネルよりも画像の容量が大きくなりますし、同じ処理をするのにも当然時間がかかります。
 DTP世界では一旦16bitチャンネルの画像を変換して色調補正などをしてまた8bitチャンネルに戻すなんていう事をしているようですね。色調補正でのトーンジャンプを軽減するために一時的に16bitチャンネルに変換してるとか。
 そういえば昔、下絵の線画を綺麗にスキャンする方法として、実際に作業する解像度の2倍で取り込んで、それを1/2(元の解像度)に落とすと線画が適度にアンチエイリアスかけたみたいな感じになり全体的に綺麗に見える、みたいな感じですかね?。
 いずれにせよそこまで色や階調に拘る絵描き様以外にはほぼ必要ないといっていいでしょう。
 基本アニメ塗りっぽい連中にとっては尚更です(笑)。

ジーンシャフトww0000真綾と樋口www
 Phtotoshop 4.0Jについてのレビューも、無事終わらせることができました。
 これも4.01アップデータが見つからなかったらここまで動作検証などができなかったわけです。これは非常に幸運だったというべきでしょう。
 Photoshop 4.0はアクションによる作業の自動化が特徴だといえます。
 その他にも次のバージョンにつながるような機能の萌芽が見え隠れします。ですが歴代Photoshopから見ても次代の5.0に比べればどうしても知名度に落ちる気がするのもまた事実。
 まだCG絵描きという種族が成立したての時期だけに、Photoshopが絵描き向けのソフトとしての地位をまだ得ていなかったという時代背景も4.0への馴染みが薄い所以なのかもしれません。
 未だにPhotoshop 5.xや7.0などを愛用している絵描きの方々がいますが、それに比べてPhotoshop 4.0を愛用しているという人は圧倒的に少ないですからね。
 それでも後世への地歩を着実に踏み固め、Photoshopの更なる進化のために次代へのバトンをしっかりと繋いだバージョンとも言えるのではないでしょうか。
 実際前バージョンよりも使いやすくなっているわけですしね。
 Photoshopは機能面での退化が少ない安定した(悪く言えば保守的な)ソフトウェアであることがユーザの評価を得ているのではないかと思います。
 そのお陰でボクは90年代より変わらない操作形態のPhotoshopを主な絵描きツールとして使って今に至っているのです。
| ヲタク::Photoshop | 11:53 PM | comments (x) | trackback (x) |
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